ローマ帝国初代アウグストゥス帝コインの歴史と評判

アウグストゥス帝のコインの歴史

ローマ帝国初代アウグストゥス帝のコイン

オクタウィアヌス(アウグストゥス、在位B.C.27~A.D.14年)は、父の死後、大伯父カエサルの保護を受け、カエサルの暗殺(前44)後、遺言により主要な相続人・養子とされていることを知ると、ただちにローマに赴き、ガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌスと改名、権利を主張した。叔父の仇ブルートゥスを討った後、「アクティウムの海戦(vsクレオパトラ率いるエジプト軍)」などで戦勝を重ね、B.C.27年、最高権力「アウグストゥス(尊厳なるもの)」の称号を贈られます。これにより、初代ローマ皇帝が誕生した。アウグストゥスの治世は、元老院に毅然とした態度を示しながらも、叔父カエサルの失敗に鑑み、自らを「プリンケプス(ローマ第一市民)」と称し、敬意をもって接していた姿勢が評価されています。(記録によると、ユーモアがあり、類まれな美男子だったそうで…。)

内乱に終止符をうち、知力を尽くして財政、社会秩序、水道の整備、神殿の建設などの再建により、帝国の基盤を築き上げたアウグストゥスは、その死後、神格化されました。

加えて、アウグストゥスは、財政基盤の強化のため、徴税システムの簡素化と公平化を目指したとともに、通貨制度改革にも着手し≪1アウレウス金貨=25デナリウス銀貨=100セステルティウス銅貨≫、その後300年にわたり、ローマ帝国の基軸通貨となります。

前2年~後12年発行 デナリウス銀貨
月桂冠をつけたアウグストゥス帝の肖像
〈CAESAR AVGSTVS DIVI F,PATER PATRIAE〉文字
(カエサル・アウグストゥス・神・国父)

デナリウス銀貨

治世初期の肖像は共和政時代末と同じく“無冠”でしたが、政権が安定すると勝利者の証である「月桂冠」を戴いた端整な顔立ちの肖像を表現させました。この様式はその後も継承され、コインに表現されるローマ皇帝の肖像は月桂冠を戴いたものが標準となったのです。

 また、ローマ帝国時代のコインは支配者たる皇帝の顔を、帝国に住む末端の民に至るまで広く知らしめる役割が期待されていました。そのため、皇帝は自らの政治信条や戦場での勝利を、肖像の裏面に寓意的なモチーフとして打たせました。

アウグストゥス帝の肖像

表面: 月桂樹の王冠を戴いたアウグストゥス帝の肖像
   〈CAESAR AVGVSTVS DIVI F PATER PATRIAE 〉の文字
   (カエサル・アウグストゥス・神・国父)
裏面: 左手に先端にイーグル像が飾られた王位を表わす笏を持ち、右手に月桂樹を持ちながら勝利の行進用の四輪戦車にのるティベリウスが描かれている
  〈AVG F TR POT XV 〉/下欄〈TI CAESAR〉の文字

ユリウス・カエサル

ちなみに・・・・・
“ユリウス・カエサル”とは、共和政ローマ期の政治家、軍人、文筆家(『ガリア戦記』など)。英語読みで“シーザー”。「賽は投げられた」、「来た、見た、勝った」、「ブルータス、お前もか 」などの特徴的な引用句でも評判となっています。また暦で彼の名称が使用されていた(ユリウス暦)時期が存在していました。7月をJulyというのは、カエサルがこの月の生まれだったため、英語綴りでJulius Caesar (ジュリアス=シーザー)にちなんで名づけられました。なお、Caesar という名から、後に皇帝を意味するドイツ語のカイザー(カイゼル)や、ロシア語のツァーリという言葉が派生したと言われています。

クラッスス及びポンペイウスとの第一回三頭政治と内戦を経て、終身独裁官(ディクタトル)となり、後の帝政の基礎を築き、最後は皇帝となることを狙っていましたが、共和派ブルートゥスらによって暗殺されます。オクタウィアヌス(のちのアウグストゥス帝)を養子にした。

コインに関して、前44年にカエサルが暗殺されると、ローマの権力闘争に再び火が付き、マルクス・アントニウスとカエサルの養子オクタウィアヌスが対立する。アントニウスは、エジプト女王クレオパトラ7世と手を組み、前31年、アクティウムの海戦で、両者は
激突します。当初、オクタウィアヌスは、アントニウスに比べて、年齢・経歴・財産・政治的背景の何れをとっても劣っていました。唯一の強みは、“カエサルの後継者”であり、カエサルの養子となっていたことだけでした。また、オクタウィアヌスは、自分の手による金銀貨鋳造の手段も見出していたことも幸いに、コイン上に自分の最も有利な点を強調しました。

すなわち“DIVI IVLI F(ilius)”(「神たるカエサルの息子」)という文字を刻むことで、カエサルの神格化とその正当な相続人であることを主張しているのです。

セステルティウス貨

前37年 セステルティウス貨
  表面:王冠をつけたカエサルの頭部 〈DIVOS IVLVS〉(神たるユリウス)の銘記
  裏面:オクタウィアヌスの頭部〈CAESAL DIVI F〉(神たるカエサルの息子)の銘記

表には〈DIVOS IVLVS〉(神たるユリウス)の文字と神となったカエサルの頭部、裏には〈CAESAL DIVI F〉(神たるカエサルの息子)の文字とオクタウィアヌスの頭部が描かれています。このやり方はずっと続きましたが、前31年のアクティウムの海戦において、決定的な勝利を収めた後、はじめて“IMP(erator) CAESAL”という文字に改められました。それは、ローマ世界単独の勝利者、唯一の軍事指導者となったことの宣言でもありました。
 
ユニバーサルコインの評判としては、権威を主張するために様々なデザインが盛り込まれていた古代コインなので、当時を生きたヒーローたちの熱い思いが伝わってきます。